藝大フィルハーモニア管弦楽団のチリ公演の最終日は、サンティアゴの中心街であるバケダノ広場(イタリア広場)の前にある、チリ大学ホールでの演奏会でした。
このホールは元は映画館でしたが、現在はチリナショナルオーケストラの本拠地として使用されており、日頃からコンサートに通うチリのお客様にどの様に受けとられるのか、不安と期待の最終日となりました。
前半のプログラムは、迫学部長指揮によるスメタナのモルダウ。
これまで同様、あるいはそれ以上に、丁寧に美しく、そして豊かな音色で演奏するその様子に、会場のあちらこちらで驚きの表情。改めてプログラムを開き、藝大フィルのプロフィールをご覧になるお客様が多くいらっしゃいました。
二曲目は、サンティアゴ市立劇場二日目に続き松下副学長指揮による「飛天遊(松下功作曲)」の演奏。オーケストラはとても集中しており、また、林英哲客員教授(太鼓)の長いカデンツァも見事で、前半にして全ての聴衆を魅了いたしました。
後半は、迫学部長指揮によるドヴォルザーク交響曲第8番。しっかりコントロールされた、しかも伸び伸びとした演奏はとてもしなやかで、フレーズを丁寧に見事に歌い上げ、とても上品で美しいドヴォルザークの演奏。チリ公演の最終日を名残惜しむかのような、終楽章の弦セクションの充実したアンサンブル、そして、このチリ公演の成功を象徴するかの様なブラスセクションのフィナーレに満員の会場の全員のスタンディングオベーション。
アンコールのラプソディでは、八木節のメロディーがなると会場から自然と手拍子が起こり、チリ公演の最後を締めくくる素晴らしい演奏会となりました。